2020年07月31日

あやとり(19) 中谷信男

「横板に雨垂れ」
横に張つた板に、ぽつぽつと雨粒が落ち、それがさらにゆつくり流れ落ちる樣を表す諺です。なんのことかといふと(つか)へつつかへものを言ふことの譬へで、(とつ)(べん)のことです。
その逆が「立板に水」の能辯になります。立板に水の喋りに人は感心しますが、とかく内容に嘘がまじつてゐることに氣づかないものです。
posted by 國語問題協議會 at 21:52| Comment(0) | 中谷信男

2020年07月12日

日本語ウォッチング(31)  織田多宇人

犯罪を犯す
「犯罪を犯す」「被害をかうむる」と言ふ言ひ方を何氣なく聞き流してしまふことがあるが、明らかにをかしい。「馬から落ちて落馬して」の類の誤りである。良く考へれば分るやうに、正しくは「罪を犯す」であり、「害を被(かうむ)る」である。「犯罪」と「罪」、「被害」と「害」を同義語に感じてしまつてゐるのであらう。
このやうな重複した言ひ方を「重言」と言ふさうだが、他にもこのやうな例がある。「後で後悔する」、「豫(あらかじ)め豫定する」、「一番最後」、「未だに未完成」、「違和感を感じる」など。中には一概に間違ひとは言ひ難いものも無くはないが。
posted by 國語問題協議會 at 10:27| Comment(0) | 織田多宇人

2020年07月01日

かなづかひ名物百珍「サトウガヒ(佐藤貝、Anadara satowi)」

歴史的假名遣を學ぶ際、最初に憶えるべき言葉がいくつかあります。これを和歌の體裁にまとめ、忘れないやうに工夫した最初は明治十九年『かなづかひたもとのかがみ(宮崎蘇菴)』かといひます。續いて明治三十四年『新案かなづかひお伽話(糸左近)』は物語風に、また大正七年『笑ひながら覺えられる假名づかひ(宇田四郎)』は插繪をいれ、今でいふ「ビジュアル」の進化が見られます。

確かに言葉の羅列より、一枚の寫眞が心に殘る場面はよくあります。自分も及ばずながら
・かなづかひ名所百景
・かなづかひ名物百珍
・かなづかひ人物百姿
を企畫してみました。人物はなかなか百人に至らず、五十名が精々かもしれません。まづは思ひつくまま書きつらねてみますので、宜しく御叱正ください。寫眞はすべて他所からの借り物ですので、著作權の心配がありましたら御指摘を御願ひいたします。

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サトウガヒ(佐藤貝、Anadara satowi)

赤貝の近縁種。英國の外交官アーネスト・サトウ(Sir Ernest Mason Satow)の名にちなむ。サトウ(Satow)姓は「佐藤」とつながりは無いが、自ら日本名「佐藤愛之助」や雅號「薩道静山」を名乘ったため、一般に「佐藤貝」の漢字が宛てられる。「薩道」は「サタウ」であり、假名遣としては合はない。
かな百031佐藤貝a.jpg
posted by 國語問題協議會 at 09:38| Comment(0) | 高崎一郎