2021年12月11日

日本語ウォッチング(47)  織田多宇人

感慨もひと汐
 「感慨もひと汐だ」と書く人がゐる。しかしこれは「感慨も一入(ひとしほ)だ」と書かなければならない。「ひとしほ」とは染め物を染め汁に一囘ひたすことことで、一囘染め汁にひたすことで、染める前󠄁よりも色が鮮やかに出てくるため、「ひときは、一層、一段」等の程󠄁度を表す副詞として用ゐられるやうになつた。「潮󠄀汐」(朝󠄁潮󠄀と夕潮󠄀)と言ふ熟語があるが、「夕方に干滿を示す海の水」の意󠄁である「汐」と「ひときは」とは何の關係もありさうにはない。なほ「一入」を「ひといり」と讀まないやうに御注󠄁意󠄁を。
posted by 國語問題協議會 at 00:00| Comment(0) | 織田多宇人