2022年10月09日

日本語ウォッチング(54) 織田多宇人

虎視耽々
 四文字熟語に接した時、時々あれつと言ふ間違󠄂ひを見ることがある。「虎視耽々」等も其の一つ。「こしたんたん」は虎が獲物を銳い目でねらうことだから、當然「目偏󠄁」であり「耳偏󠄁」である筈がない。從つて「虎視眈々」でなければならない。「耽」も「眈」も音󠄁は「タン」であるが、訓は「耽」は「ふける」であり、「眈」は「にらむ」である。「眈」の熟語は「眈々(此の例から轉じて、野心を以て機會を狙う樣)」位しかないが、「耽」の熟語としては、「耽美(美にふけり陶醉すること)」、「耽溺(ふけりおぼれる)」、「耽讀(讀書にふける)」等がある。
posted by 國語問題協議會 at 20:00| Comment(0) | 織田多宇人

2022年10月01日

かなづかひ名物百珍(21)「をけら祭(サイ)」/ア一カ

[をけら]
 京キ八坂~社の元旦の~事。現在も「をけら」表記。舊稱「祇園削󠄁掛~事(ぎをんけづりかけのしんじ)」。

 ヲケラ(朮、Atractylodes japonica)は菊科朮屬の多年草。漢方の生藥「白朮(びゃくじゅつ)」はその地下莖。蟲類のケラ(螻蛄)とは關係ない。賭事などに負け所󠄁持金の無い意󠄁味の「おけら」は螻蛄から來た隱語である。
posted by 國語問題協議會 at 17:00| Comment(0) | 高崎一郎