2022年11月21日

かなづかひ名物百珍(21)「~呪寺甲山大師」/ア一カ

[神呪寺]
 兵庫縣西宮市の寺院。現稱は「かぶとやまだいし・かんのうじ」だが、開山以來「摩󠄁尼山~呪寺(しんじゅじ)」「武庫山」「感應寺」といった變遷󠄁や別稱がある。假名遣󠄁は漢字に忠實なら「かんのふじ」、もしくは語源重視なら後段の理由で「かんのをじ」とすべきであらうか。

[神呪寺]
 寺傳では「のろ(呪)ふ」といった意󠄁味はなく、「かんのうじ」とは「~の寺」の變であるとする。しかし『大日本地名辭書』(444ページ)~呪寺(シンジウジ)の項に別稱の「~尾(かんのを)」を揭げてをり、こちらの方が地形や音󠄁韻上で自然な由來に感じられる。また現在「六甲山」と「甲山」は隣接する別の山名の扱󠄁ひだが、じつは同じ起󠄁源なのかもしれない。

 また「感應寺」はかなり時代が下った宛字ではないか。~呪寺の開山が寺傳のとほり平󠄁安初期であるならば、「感應寺」をカンモウジと讀む可能性が高い。

 六甲山は上代には「牟古山・務古山・六兒山」など樣々な表記あり、讀み方はムコヤマで間違󠄂ひなからう。これを大阪灣の「向うに見える山」とする說明を見かける。しかし「むかふ→むかう」のウ音󠄁便がそんなに早い時期にあったものか、俄かには信じ難い。
posted by 國語問題協議會 at 20:35| Comment(0) | 高崎一郎