變(変) 體(体) 驛(駅) 舊(旧) 對(対) 應(応) 燒(焼) 點(点) 假(仮) 單(単) 竝(並) 處(処) 劑(剤) 藥(薬) 齋(斎) 兩(両) 稱(称) 氣(気) 来(来) 參(参)
東京キ葛飾󠄁區にある、京成󠄁立石驛の近󠄁くの商店街は、歷史を感じる看板が澤山ありますが、その幾つかを紹介します。
和菓子屋さん「ひらた」。「た」は「多」に由來するかなです。

右側は「どぜう 柳川なべ」、左側は「本場 どぜう」とあります。「なべ」の「な」は「奈」を別の形で崩󠄁した字です。なほ、江戶時代からの習󠄁慣なのか、飮食店では泥鰌を「どぜう」と書く事がありますが、正しくは「どぢゃう」です。

「立石名物 手燒奥戸せんべい」とあります。「へ」は「遍󠄁」を崩󠄁した字で、それに濁點が附いてゐます。「燒」の字を崩󠄁すと、下のやうな形になる事にもご注󠄁目。

以下の三つは變體假名ではありませんが、漢字の興味深い看板です。
「洋品のダイマル」。「品」の字の下の口二つが繫がってゐますが、手書きの字では「品」「單」「器」など口二つがに竝ぶ字をこのやうに書く事がありました。

「甲州屋老舖 創業 明󠄁治十弐年」(その左側には「電(XXX)XXXX番」)とありましたが、「州」の草書體は難易度が高めです。「番」も見慣れないかも知れませんが文脈で分るでせう。それにしても明󠄁治創業とはすごい。

「處方調󠄁劑小林藥局支店」とあります。見事に正漢字……と思ひきや、「劑」の字の左側が「齋」になってゐます。誤󠄁字なのか異體字なのかは分りませんが、字典等であまり見掛けないので珍しいかも知れません。

これも變體假名ではありませんが、書字方向の興味深い看板です。左側の看板は右書き、右側の看板は左書きになってゐます。これに限らず、看板の左右兩方に同じ文字を書く場合、書字方向を「線對稱」にする事がたまにあります。

最後に變體假名の看板に戾ります。商店街で一番人氣の、行列の出來る店を紹介します。「もつ燒 うちだ」(インターネットの飮食店紹介サイト等では「宇ち多゙」と表記される事も)です。「う」は「宇」、「だ」は「多」に由來する變體假名のやうです。これだけならよくある只の變體假名の看板ですが、驚くなかれ……


店の裏の看板は何と右書きです。右から「もつ燒 うちだ 煮こみ」とあります(「こ」は「古」に由來する變體假名です)。「表は左書き、裏は右書き」といふこれまた「線對稱」が面白い。私が行った時は店の表側と裏側に二つの列が出來てゐましたが、片方は一般客、片方は常連さんの列なのださうです。たゞ看板が古いだけでなく、今でも現役で澤山の人に愛されてゐるなんて、素リらしい事ではありませんか!
【參考資󠄁料】
【立石仲見世&中央通り商店会】昭和レトロ好きの宝物・立石商店街の魅力! | 商店街・横丁 | Deepランド
https://deepland.blog/tateishi-syoutenngai/
【東京・大衆酒場の名店】この緊張感は何だ? 行列しても入りたい立石「宇ち多゛」の強烈な魅力の噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat3/WeZbH
【初潜入】宇ち多゛行列、独自ルール、怒号、その先にある絶品もつ焼(1万字レポ)
https://note.com/00kub0/n/n0ed54d93e490