2024年10月19日

日本語ウォッチング(72)「竹籔」/織田多宇人

竹籔
「たけやぶ」が「竹籔」と書かれてゐることが間々ある。正しくは「竹藪」である。「藪」の音󠄁は「ソウ」で訓は「やぶ」である。一方「籔」の音󠄁は「ソウ」或いは「ス」で、訓は「ざる」である。やぶ蛇、やぶ蚊、やぶ醫者は全󠄁て「藪」であり、勿論竹やぶも「藪」である。ところが、竹やぶが「竹籔」と書かれてゐることが結構󠄁多い。竹冠のせいか竹やぶは竹に緣があるはずだとつい考へてしまふのではないか。
posted by 國語問題協議會 at 10:30| Comment(0) | 織田多宇人

2024年10月12日

かなづかひ名物百珍(40)「おゆみ野」/ア一カ

 千葉市甑スのニュータウン。京成󠄁電鐵「おゆみ野驛」や千葉市中央區生實町からかなり離れてゐるが、中世の「小弓城」や江戶時代の「生實藩」の範圍內といふ。一說に上代の「麻󠄁績(をみ)」に由來するといふから「をゆみ野」とすべきかもしれない。「大弓」や「御弓」の表記もあるが、いづれも後世の宛字の感がある。

 吉田東吾『大日本地名辭書』(3247ページ)では「生實」に「オヒミ」の假名を振ってゐる。「生」には「おひる・おふ」「はえる・はゆ」二種の訓があり、そもそもハ行とヤ行を混同しがちである。そこへ「おゆ」を宛てるのは本來かなり苦しい。さう惡字でもない「老」などがふさはしかったと思ふ。もっとも「用ゐる」をヤ行に誤󠄁った「用ゆ」はしばしば見られるから、「オユ」も可といへば可なのだらう。
posted by 國語問題協議會 at 09:15| Comment(0) | 高崎一郎

2024年10月06日

街中の正字・正かな・變體がな(4)「驛」/押井コ馬

【主󠄁な漢字の新舊對應表】
變(変) 體(体) 驛(駅) 舊(旧) 對(対) 應(応) 圍(囲) 氣(気) 濱(浜) 假(仮) 讀(読) 當(当) 觀(觀) 辨(弁) 圓(円)

 正字・正かな、いはゆる「舊字・舊かな」は今でも細々と生き延󠄁びてゐます。それは主󠄁に「固有名詞」で、特に店名や商品名等では今でもよく見掛けます。

 今日は「驛」を取り上げます。近年、レトロな雰圍氣を出すためか、あへて「驛」の字を使った看板をたまに見掛けます。以前取上げた「横濱」の「濱」の字と同じく、「えき」といふ振假名は大抵ないので、「驛」といふ漢字は讀めて當り前」と言はんばかりです。皆さんも驛で是非觀察してみて下さい。

[名古屋驛麺通り]
名古屋驛麺通り

[驛弁]
驛弁(名古屋驛にて。これに慣れたら今度は「驛『辨』」表記も是非揩竄オて下さい!)

[木更津驛]
[木更津驛]
木更津驛

[高円寺驛]
高円寺驛(これに慣れたら今度は是非「高『圓』寺驛」表記も!)
posted by 國語問題協議會 at 22:15| Comment(0) | 押井コ馬