2015年05月05日

歴史的假名遣事始め (四) 市川 浩


クイズで遊ぶ歴史的假名遣(四) 市川 浩

先月のクイズ解答
風薫る五月の空に泳ぐ鯉幟 →かぜかをるさつきのそらにおよぐこひのぼり
音羽山の麓に女郎花が咲いて居る →おとはやまのふもとにをみなへしがさいてゐる
遠く富士の山が遮る物もなく見渡せる →とほくふじのやまがさいぎるものもなくみわたせる
病弱の故に家業も儘ならなかつた →びやうじやくのゆゑにかげふもままならなかつた

定家假名遣
藤原定家が文字は音韻の變化から獨立すべきだとしてから、ハ行轉呼以前の書き方に戻らうとした定家假名遣はしかし、既に濫れてゐた表記を完全には戻すことができませんでした。
今囘のクイズにある、「かをる」が「かほる」、「おとは」が「をとは」、「をみなへし」が「おみなへし」、「さいぎる」が「さへぎる」、「ゆゑに」が「ゆへに」などです。これらが訂正されるのは江戸時代の契冲から、戰後の昭和、平成にまで亙りました。しかしだからといつて定家が假名遣といふ概念を始めて確立した意義を害ふものではありません。

練習問題
ハ行轉呼の他に音の區別がなくなつた四つ假名の書き分けを含む下記の文を歴史的假名遣表記で假名書きして下さい(問題の性質上一部慣用の宛字漢字を使つてをります)。

北條氏の榮華も一場の夢と消えた
中將姫は曼陀羅を織つて極樂淨土に往生
嚴重な警戒の中を犯人を乘せた車が徐行
女性の社會進出を支持した政治家
posted by 國語問題協議會 at 09:35| Comment(0) | 市川浩
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