2017年02月01日
歴史的假名遣事始め (二十六) 市川 浩
クイズで遊ぶ歴史的假名遣
先月のクイズ解答
問題
下記の所論に問題があるとすれば、その反論を御書き下さい。(問題の性質上、敢て新字・新かなで表記してあります)。
結局正字・正かなは昭和二十年までの表記といつても、完成は契冲以後であり、それも不徹底であつた。つまり所詮近世の人造物に過ぎず、同じ人造物である現代仮名遣いの方が遥かに合理的ではないのか。
この主張に對する反論の一例を擧げます。
言語の歴史や文化は夫々の言語に固有のものであり、それゆゑにこそ多種多樣の言語が地球上に存在し、恰も生物の多樣性に似てゐます。生物種が生存して行くためには親に教へられた生き方しか無いやうに、言語も親から承繼いで習練したものしか生き殘れません。「契冲」の假名遣は「近世の人造物」では決してありません。記・紀・萬葉に殘る國語の根源を發見して、之を一般化したものだからこそ、後世の人もこれに從つて來たのです。その點「現代仮名遣い」は國語の表記を音標文字化する目的で當に人工的に造られたものです。さうした試み自身には敬意を拂ひますが、これを行政の對象として強制し、人工故の缺陷にも批判を「無視」する運營に異議を申立ててゐるのです。しかも「面倒な歴史的假名遣を覺えなくてよくなつた」と引換へに、古典を失ひ、言葉遣ひの業が廢れるといふ取返しのつかない損害に目を向けていたゞきたいのです。
練習問題
下記の所論に問題があるとすれば、その反論を御書き下さい。(問題の性質上、敢て新字・新かなで表記してあります)。
いよいよ小学校での英語の必修が本格化し、中学入試の対象にもなる。グローバル化の流れは止められない中で、子供たちは必死に頑張つている。そこへ漢字だ、仮名遣いだと余計な負担をかけて、結局どれも中途半端に終ってしまったら、正字・正かな屋はどう責任をとってくれるのか。
posted by 國語問題協議會 at 21:56| Comment(0)
| 市川浩
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