2023年04月01日

本會は本日「國語仲良し俱樂部」に改名します/原稿募集のお知らせ

■本會は何の爲のグループですか
 皆さんも、インターネットでいはゆる「舊字・舊かな(正字・正かな)」による文章を日常的󠄁に綴ってゐる人を御覽になる事がおありかと思ひます。ツイッターだけでも百何十人もの人が正かなづかひ(漢字は正字の人もゐれば新字の人もゐる)で日常的󠄁に文章を綴ってゐますし、インターネット全󠄁體では更に大勢ゐます。注󠄁目すべき事には、その大半󠄁は學校ヘ育を「新字・新かな」で受󠄁けた戰後世代です。
 ところで皆さんは、「國語問題協議會」といふ名前󠄁を聞いた事がありますか。「漢字廢止論・漢字制限論」「かなづかひ表音󠄁化󠄁」等の國語改革による「國語改惡」に反對する爲に立ち上げられたグループです。本會の講󠄁演會パンフレットではかう說明󠄁してゐます。
■國語問題協議會とは?
 昭和二十一(一九四六)年の「当用漢字表」「現代かなづかい」に始まる國語改革は、一見「簡單で憶えやすい國語」に見えた反面、根幹をなす原理原則はすつかり亂れ、破壞されてしまひました。
 そんな國語の現狀を悲しみ、古來より先人達の育ててきた「よりまともな原理原則の國語」を見直して立ち返󠄁らうと、昭和三十四(一九五九)年に設立されたのが「國語問題協議會」です。每年會誌「國語國字」を發行して多くの方々や圖書等に頒布したり、正統國語についての啓󠄁發活動を行つてゐます。

 さて、本會について知ってゐるか、本會についてどう思ってゐるのか、昨年アンケートを取ってみました。最初に擧げた、「インターネット上で正かなづかひで日常的󠄁に文章を綴ってゐる人」を中心に聲を掛けてみたところ、40名前󠄁後の方から回答をいただけました。

○「國語問題協議會」をご存じですか。
41件の回答
知らない15人36.6%
聞いた事はあるが、會員になった事はない25人61.0%
かつて會員になった事がある0人0.0%
既に會員である1人2.4%


○「國語問題協議會」の會員ではない方に質問します。その理由は何ですか。(複數回答可)
38件の回答
存在を知らなかった15人39.5%
そこまで興味がない15人39.5%
どんな活動をするグループなのかよく知らない14人36.8%
年會費が掛かる5人13.2%
住󠄁所󠄁や氏名を出したくない3人7.9%
會の雰圍氣や方針や見解等が自分に合ってない3人7.9%
高齡等で、細かな文字を讀むのが億劫になった0人0.0%
會とは別の方法で正漢字(舊漢字)や歷史的󠄁假名遣󠄁を擁護したり實踐中7人18.4%
その他:活動の實態がよく分からない爲。1人2.6%
その他:會員制があることを今初めて知った。1人2.6%


■國語問題協議會を斬る!
 「存在を知らなかった 15人」「どんな活動をするグループなのかよく知らない 14人」。折角インターネットで正字・正かなを實踐する人がゐるのに、本會はその層を取り込󠄁めてゐない事がわかります。勿論、私の力不足でもあります。
 本會の年會費は五千圓(學生は千二百圓)です。この決して安くない年會費を拂って、年二回の「講󠄁演會のお知らせ」と年二回の薄い本(會報『國語國字』)が送󠄁られて來るだけでお終󠄁ひでせうか。それでも講󠄁演會が國語國字問題について本當に考へさせる內容だったり、『國語國字』にも役立つ資󠄁料が揭載されてゐれば良い。本會發足當初の、國語行政を動かす程󠄁のみなぎるパワーがあれば良い。そして、殆どの人が「五千圓出した甲斐があった」と思へるだけの會になってゐれば良い。しかし、それは達󠄁成󠄁出來てゐるでせうか。
 一部の會員からは嚴しい意󠄁見が寄せられてきました。
「今の國語問題協議會は、國語國字問題を是正する氣がないのではないか。講󠄁演會と『國語國字』は內輪で滿足してゐるだけで外部への發信力に缺けてをり、これでは單なる『趣味の仲良し俱樂部』だ」
「國語や言語の一般的󠄁な話題や、宮本武藏の傳記などの話は、國語問題協議會の講󠄁演會でなくとも見たり聞いたり出來る。そのテーマが惡いとは言はない。しかし、折角高い交通󠄁費を掛けて講󠄁演會に來てゐるのに、協議會の本分である國語國字問題の講󠄁演が一つもないのか」(※最近󠄁改善されてきた)
「大學圖書やキ道󠄁府縣立圖書に『國語國字』を納󠄁本してゐるが、有效に活用されてゐないのではないか。一部の大學圖書では早々と除籍本コーナー行きになってゐるらしいが、會費はもっと有效に活用出來る分野に振り分けた方が良いのでは」
「國語問題協議會の會員も、それも一般會員ならともかく役員でさへ、正字・正かなでの書き方を忘󠄁れてゐる人がゐる。まづは會員自ら實踐すべきではないのか」
「會の中で、『正字・正かな』と呼ぶのを止めようと言った人もゐる。『正しい』と呼べない表記をどうして擁護する氣なのか。そんな妥󠄁協は要󠄁らない」
「會の中で、『國語の標準化󠄁なんてものは要󠄁らない、自然に任せればいいんだ』と言ふ人もゐる。新字・新かなが多數派の中で『自然に任せれば正字・正かなに辿り着く』なんて正氣の沙汰ではない。それに、そんな事を言ってゐるうちは正字・正かなの國語は近󠄁代化󠄁出來ないし、コンピュータにも載りづらい」
「『國語國字』はカップ麵の3分間の重し代はりになつたり鍋敷きにもなる。寒󠄁い時は頁を破つてまるめて、火鉢の炭を熾す焚きつけにもなる」
(前󠄁會長時代の體制の事情󠄁について一言補足しておくと、懷事情󠄁が嚴しい事もあり、「國語國字問題にあまり興味のない一般層を講󠄁演會に呼ぶ」試行錯誤󠄁もあったとも聞いてゐます)
 國語問題協議會はこのままで本當に良いのでせうか。勿論、昭和時代のままの會員制を令和の現在も續けるべきかの問題もありますが、それ以前に、國語國字問題に本腰󠄁を入れる氣がないなら、もう國語問題協議會は「歷史的󠄁な役目を終󠄁へた」とみなして、國語國字問題から「卒業」しても良いのではありませんか。その代りは、ツイッターをはじめインターネットで正字・正かなによる日常文を綴る若い世代が引き繼げば良いし、悔しいですがその層の方がよっぽど熱氣に溢れてゐます。

■本日四月󠄁一日、新しい會になります
 そして本會は本日四月󠄁一日、「國語仲良し俱樂部」に改名します!
 「舊字・舊かなを復活させるですって。何あの過󠄁激な團體。怖いわねえ」と世間に白い目で見られがちな國語國字問題は隱し、言葉の誤󠄁用問題や國語のトリビア等當り障りのないテーマだけ扱󠄁ひます。『國語國字』も、自分達󠄁だけ舊字・舊かなで書けばそれで良い。世間に國語國字問題の是正を訴へたり國語の本來あるべき姿󠄁について啓󠄁發する、そんな出しゃばった事は自重する事にいたします。國語の蘊蓄を語りながらまったりお茶を飮める、無難な「國語仲良し俱樂部」に是非ご期󠄁待下さい。




















……「そんなのは厭だ」とお思ひの人もきっと多いでせう。ご安心下さい。只の「國語仲良し俱樂部」のままでゐるか、それとも發足當初のやうに「國語國字問題をまともに考へ、本氣で是正に向けて行動する『國語問題協議會』」を令和に復活させるかは、皆さんにかかってゐます。後者をお望󠄂みの皆さんは、只の「國語仲良し俱樂部」に反對して、「行動する『國語問題協議會』」に是非ご協力下さい(※國語國字問題を考へる仲間が仲良しになる事自體は勿論良い事ですが、本分を忘󠄁れてはなりません)。また、その爲の智慧󠄁を皆さんから拜借出來れば幸ひです。

■原稿募集:「未來の國語に望󠄂む事」
 本會の機關誌『國語國字』では、五月󠄁發行の第二一九號で、會員以外の方からの原稿も募集します。
○テーマ 「未來の國語に望󠄂む事」
 根幹をなす原理原則がすっか亂れ破壞されてしまった戰後の國語改革。國語はこのままで良いのでせうか。我々一人一人の努力、國語問題協議會のやうなグループ、國語行政への訴へかけ等、是正する爲の何か良い方法があるでせうか。現在の國語問題協議會にも解決すべき問題があるでせうし、「私はこんな理由で國語問題協議會には入ってゐない」「國語問題協議會はかういふ分野についてまともに仕事しろ」等、批判󠄁でも構󠄁ひません。外部の視點からの投稿をお待ちしてゐます。また、正字・正かなを擁護したり實踐するやうになった「動機」「體驗談」等でも構󠄁ひません。
○投稿資󠄁格 正かなづかひ(歷史的󠄁かなづかひ)による文章を日常的󠄁に書いていらっしゃる方で、電子メールの使用可能な方。なほかつ、萬一自分の意󠄁見と合はない人の記事が同じ號に載っても構󠄁はない方。
○文字數  八〇〇字迄(原稿用紙二枚程󠄁度)
○入稿方法 電子メール(國語問題協議會、または押井コ馬宛にお送󠄁り下さい)
 五月󠄁十三日刊行豫定です。校閲・校正、組版、印刷の日程󠄁もありますので、四月󠄁十四日(金)迄に原稿を御送󠄁り下さい。
○總ての原稿が揭載されるとは限りませんので御諒承下さい。
○原稿の漢字は略字でも構󠄁ひませんが、組版時に正字・正かなに統一いたします(新字・新かなによる引用文や固有名詞等を除く)。
○採󠄁用者には『國語國字』の揭載號を一人二册差し上げます。
○揭載料は不要󠄁ですが、原稿料も出ませんので御諒承下さい。
○原稿の著作權は各執筆者に歸屬しますが、『國語國字』册子版、電子版、合本、內容見本への使用を許諾していたゞくものとします。なほ、頒布數や頒布方法等については理事會擔當者が決定します。

■我が國の國語を斬る!
 しかし我が國には更に大きな問題があります。そしてこの「更に大きな問題」が解決するのは、誰かがこの問題を本氣で片附けるべく全󠄁力を盡くした時になるでせうし、もしそれが私達󠄁であるなら、きっと我々內部の問題も同時に片附くでせう。たとへば……
○子供達󠄁はまともな五十音󠄁圖をヘへられてゐない! 「や ゆ よ」「わ を ん」なんて、「を」はいつからウ段になったんだ! 現代假名遣󠄁いのモノサシで測っても間違󠄂ひだ!
○中學校の國語ヘ科書は「古文・現代文」「言葉遣󠄁ひ」「假名遣󠄁ひ」「文語・口語」を混同させてゐる事があるが、これを通󠄁した文科省の目は節穴󠄁か!?
○學校ヘ育で國語改革の歷史を隱してヘへないのは、やましさを感じてゐる證據ではないのか?
○「古文・漢文ヘ育は要󠄁らない、あんなのは專門家に任せて、一般國民は專門家の解釋を通󠄁して知ればいい」なんてとんでもない! 「高い山は裾野が廣い」ものなのに、專門家の卵を潰す氣か!
○人名の異體字には異樣にこだはる癖に、文學作品は新字・新かなに平󠄁氣で改竄するなんて矛盾ではないか?
○書寫體が活字體通󠄁りの字體ではないからと言って勝󠄁手に「間違󠄂ひ」扱󠄁ひするな! 活字體と書寫體では字體が一部違󠄂ふものだ!
○「舊字・舊かな」の枕詞に「難しくて讀めない」を附けるのは止めろ! 「知る樂しみ」を奪ってゐるし、人名が舊字の人に「あなたの字は難しくて讀めない」と言ふのは失禮だと分かってゐるのに! 人名だけ例外のつもりか!
○「言葉はコミュニケーションの道󠄁具󠄁」を、「少數派を笑ひ者にし、自分が氣に入らない言語表記を排除する口實」に惡用するな!
posted by 國語問題協議會 at 15:00| Comment(1) | 押井コ馬
この記事へのコメント
國語問題協議會の下働きとしてひとこと申上げます。
いつもは穿鑿がましい書込で失禮してゐます。以下、假名遣について
御説明します。私共、歴代の會長以下、それなりに奮鬪してきた事を
認識していただければ幸ひです。時代の流れを考へ、更に有效な方法を
摸索してゐます。

國語國字問題はすなはち現代の秩序の問題です。我々は明らかに
「官」に對する「賊」の立場にあります。「まつろはぬ者」だからです。
國語學者は「根幹をなす原理原則」の存在をしっかり認識してゐます。
ただし「それは誤った囘歸、虚構である」「さほど長くない期間、
さういふ考へ方もかつて存在した」といふのが學術的な評價です。
中世から近代にかけて、精々が定家假名遣の世界ですからね。

國語問題協議會の存在意義は
(1) 「官」に戻すこと
(2) 次善として、「賊」でなくなること
にあります。近年、「多彩な表現の許容、尊重」により、(2)の可能性が
芽生えてきました。ただ、この文章をお讀みの皆樣がそれぞれ單獨で
頑張っても、なかなか大きな流れにはなりません。
・「原理原則」を明確に説明する。なるべく文字化する。
・それが多くの人(できれば國民)の意志であると宣言する。
の二項目が必須であると愚考します。前者はともかく、後者は今のところ
國語問題協議會が最も近い位置にあると自負いたします。

「根幹をなす原理原則」は「現代の表記としての歴史的假名遣」であり、
國語史的な研究對象ではありません。どうしても我々は歴史研究に
期待をかけ、その結果「歴史的假名遣は誤った囘歸、虚構」といふ
評價が確立してしまひました。さうではなく、「自分は、もしくは
近代以降の國民は如何なる原理原則で文字を綴ってきたのか」といふ
視點に立って行動してゆきたいと考へてゐます。

昨秋、同趣旨の講演を行ひました。御視聽たまはればと存じます。
https://www.youtube.com/watch?v=TZ0rirvOod4
Posted by 高崎一郎 at 2023年04月11日 05:32
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