制肘を加へる
「制肘を加へる」と言ふ文章を見たがこれは「掣肘」と書くべき。「制」も「掣」も音󠄁は「セイ」だが、訓は「制」は「おきて」、「掣」は「ひく」である。「制」には「おきて、ととのへる、おさへる」等の義があり、「制度、制令、制定、統制、制壓、抑制」を始め多くの熟語があるが、「掣」には「掣肘」以外に一般的󠄁な熟語はない。「掣肘」は中國の故事から出た熟語で、人の肘を掣いて自由を妨げること、つまり、脇から干涉して自由な行動を妨げる意󠄁に用ゐられる。「制」には「おさへる」意󠄁があるので間違󠄂ひ易いが、やはり正しく「掣肘」と書いて貰ひたい。
2024年05月27日
日本語ウォッチング(66)「制肘を加へる」/織田多宇人
posted by 國語問題協議會 at 19:15| Comment(0)
| 織田多宇人
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