2020年07月31日

あやとり(19) 中谷信男

「横板に雨垂れ」
横に張つた板に、ぽつぽつと雨粒が落ち、それがさらにゆつくり流れ落ちる樣を表す諺です。なんのことかといふと(つか)へつつかへものを言ふことの譬へで、(とつ)(べん)のことです。
その逆が「立板に水」の能辯になります。立板に水の喋りに人は感心しますが、とかく内容に嘘がまじつてゐることに氣づかないものです。
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2020年06月03日

あやとり(18) 中谷信男

八細工七貧乏
八細工とは器用なことをさします。何でもこなす多藝で多才な人は、結局どれも大成せず、貧乏することが多い。
「器用貧乏」といふ言葉がありますが、それに足して「器用貧乏人寶」といふのは、さういふ人がゐると周りの人はたいへん重寶だの意味で、本人は貧乏しても周りの人には役にたつ、利他行爲と言へ、結構なことです。
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2020年04月19日

あやとり(17)  中谷信男

三人寄れば人中(ひとなか)
三人寄れば文珠の智慧
三人旅の一人乞食
三人が集ればそこは人中、つまり公の場となつてしまふので、そこで言つたことばは祕密にはできないといふ意味です。智慧を出しあふのもそのゆゑでせう。
ところがその三人で旅をすると、その中の一人が窮乏するとか、仲間外れになることが起り勝ちだともいひます。
二對一となつてそこに對立關係が生れ、一人が彈きだされることが多いものです。
鼎談(ていだん)といふのは、主として食物の煮炊き用に用ゐられる青銅器鼎(かなへ)が三本足をしてゐるので、三人向ひあつて座談することを言ひます。若くしてなくなつた遠藤浩一さんは、三島由紀夫は鼎談に向いてゐたが福田恆存さんは對談(二人で向合つての座談)が秀逸だつたと言はれてゐました。思考パターンのそれぞれの違ひがよくわかります。
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