2022年11月26日

日本語ウォッチング(55)  織田多宇人

カンカンガクガクの議論
 四文字熟語に關して、「ケンケンガクガクの議論」と言ふ言ひ方を多く耳にする。これは全󠄁く別の意󠄁味の「喧喧囂囂(ケンケンゴウゴウ)」と「侃侃諤諤(カンカンガクガク)」の混合使用で誤󠄁用の一つと言へる。「喧」と「囂」には、ともに「かまびすしい」「やかましい」「さわがしい」という意󠄁味があり、この文字を重ねた喧喧囂囂は、「口やかましく騷ぎたてるさま」「たくさんの人がやかましくしゃべる樣子」を表す。一方、「侃」には「性格などが強いさま、のびのびとしてひるまないさま」、「諤」には「正しいことを遠󠄁慮せずに言ふ、ごつごつと直言する」と言ふ意󠄁味があり、この文字を重ねた侃侃諤諤は、「正論を吐いて屈しないさま」「みんなが率󠄁直に意󠄁見を述󠄁べて議論している樣子」を表す 。誤󠄁用とは言へるが、「多くの人がいろいろな意󠄁見を出して、收拾がつかない程󠄁に噪がしい樣」に多く用ゐられてゐる。
posted by 國語問題協議會 at 15:10| Comment(0) | 織田多宇人

2022年10月09日

日本語ウォッチング(54) 織田多宇人

虎視耽々
 四文字熟語に接した時、時々あれつと言ふ間違󠄂ひを見ることがある。「虎視耽々」等も其の一つ。「こしたんたん」は虎が獲物を銳い目でねらうことだから、當然「目偏󠄁」であり「耳偏󠄁」である筈がない。從つて「虎視眈々」でなければならない。「耽」も「眈」も音󠄁は「タン」であるが、訓は「耽」は「ふける」であり、「眈」は「にらむ」である。「眈」の熟語は「眈々(此の例から轉じて、野心を以て機會を狙う樣)」位しかないが、「耽」の熟語としては、「耽美(美にふけり陶醉すること)」、「耽溺(ふけりおぼれる)」、「耽讀(讀書にふける)」等がある。
posted by 國語問題協議會 at 20:00| Comment(0) | 織田多宇人

2022年09月12日

日本語ウォッチング(53) 織田多宇人

彼は一言も口を聞かなかつた
 斷るまでもなく、「聞く」は「利く」でなければならない。「きく」にはいろいろな漢字が充てられてゐるのでふさはしい漢字を使つて欲しい。「口を利く」のほかに「藥が效く」、「話を聞(聽)く」、更にたづねるの意󠄁味で「道󠄁順を訊く」がある。「聞」と「聽」をはつきり使ひ分けてゐる人は少ないやうだが、「聽」はきこうと思つて注󠄁意󠄁してきく場合に使ふ。「ラジオをきく、講󠄁演をきく」は「聽」であり、「遠󠄁くの方から歌聲がきこえてくる」は「聞」であつて、「聽」ではない。
posted by 國語問題協議會 at 19:30| Comment(0) | 織田多宇人