2019年03月23日

日本語ウォッチング(14) 国際交流を助長する 織田多宇人

「助長する」と言ふ言葉は、最近では「国際交流を助長する」と言ふ風に「 力を添えて、ある物事の成長や発展を助ける」と言ふ意味に用ゐることが多い。しかし「助長」はもともと『孟子』から出た言葉で、「苗を早く生長させやうと思つた宋の人が苗を引き抜いて枯らしてしまつた」と言ふ故事から「不必要な力添えをして、かえって害すること」を意味し、惡い意味にしか使へない。
しかし、現在では良い意味に使ふ場合が壓倒的に多い。おそらく文化廳の國語調査で取上げれば、「良い意味」に○をする人が90%以上になるだらう。ただ、出來ることなら「今日のやうな中途半端な性教育は性犯罪を助長することになる」と言ふ風に使つて貰ひたいものだ。

posted by 國語問題協議會 at 20:24| Comment(0) | 織田多宇人

2019年03月02日

日本語ウォッチング(13)  織田多宇人


嫌悪感を感じた
「嫌惡感を感じた」、「好感を感じた」、「連帶感を感じた」、「親近感を感じた」と言ふやうな表現に接すると、氣になつて仕方がない。日本語では同じ言葉の繰返しを避けるのが一般的だ。先程の例であれば、「嫌惡感を覺えた」、「好感を抱いた」、「連帶感を覺えた」、「親近感を覺えた」あるいは「親近感が湧いた」と表現して貰ひたい。
翻譯もので「ポールはまたもや孤獨感を感じた」と言ふのがあつたが、「孤獨感に襲はれた」とでも言ふべきだらう。譯者はかう書く事で何か特別な效果を出せると思つたのか、それとも單なる日本語の表現力の問題か。

posted by 國語問題協議會 at 10:43| Comment(0) | 織田多宇人

2019年02月16日

日本語ウォッチング(12)  織田多宇人

口を濁(にご)す
「彼は口を濁(にご)した」と言ふ表現を耳にすることがあるが、正しくは「言葉を濁(にご)す」だろう。口には比喩的な成句が澤山ある。例へば、「口が重い」は口數が少いこと、その反對が「口が輕い」であり、「口が酸(す)くなる」は何度も同じことを言ふこと、「口に合ふ」は好みの味と一致すること、「口を合せる」は接吻することではなく二人の言ふことを一致させること、「口を尖(とが)らす」は不滿さうな顔附をすること、「口を糊する」はやっと暮しをたてること、「口を割る」は白状すること等など。しかし「口を濁(にご)す」はない。それは「言葉を濁(にご)す」といふ言ひ方が別にあるからだ。文化廳が發表した平成17年度「國語に關する世論調査」では、本來の言ひ方とされる「言葉を濁(にご)す」を使ふ人が66.9パーセント、本來の言ひ方ではない「口を濁(にご)す」を使ふ人が27.6パーセントといふ結果が出てをり、正しい使ひ方をする人の方が多い。
因みに「口」と「言葉」、どちらも使へる慣用句もある。「口(言葉)を愼む」、「口(言葉)が過ぎる」等が、その代表例。そのため、「口を濁(にご)す」も「言葉を濁(にご)す」と同じ意味で使へると認めてゐる辞書もあるが、「言葉を濁(にご)す」が正統であることは變らない。
posted by 國語問題協議會 at 12:35| Comment(0) | 織田多宇人