2020年07月12日

日本語ウォッチング(31)  織田多宇人

犯罪を犯す
「犯罪を犯す」「被害をかうむる」と言ふ言ひ方を何氣なく聞き流してしまふことがあるが、明らかにをかしい。「馬から落ちて落馬して」の類の誤りである。良く考へれば分るやうに、正しくは「罪を犯す」であり、「害を被(かうむ)る」である。「犯罪」と「罪」、「被害」と「害」を同義語に感じてしまつてゐるのであらう。
このやうな重複した言ひ方を「重言」と言ふさうだが、他にもこのやうな例がある。「後で後悔する」、「豫(あらかじ)め豫定する」、「一番最後」、「未だに未完成」、「違和感を感じる」など。中には一概に間違ひとは言ひ難いものも無くはないが。
posted by 國語問題協議會 at 10:27| Comment(0) | 織田多宇人

2020年05月23日

日本語ウォッチング(30)  織田多宇人

晴れあがる
「朝から晴れあがつた良い天氣」と言ふ表現は餘り違和感が無いやうだが良く考へると何かをかしい。「ハレあがる」と言ふと、腫物がでも出來たかと勘違ひしてしまふ。多分「雨が霽(は)れる」「雨が上る」と言ふ二つの言葉がくつついて出來たのではないだらうか。良く晴れた日、澄んだ青空のことは、「晴れ渡る」「澄み渡る」と言ふのが本來の言ひ方だらう。明治天皇の御製にも「あさみどり澄みわたりたる大空の廣きをおのが心ともがな」と言ふのがある。
posted by 國語問題協議會 at 16:01| Comment(0) | 織田多宇人

2020年04月04日

日本語ウォッチング(29) 織田多宇人

波紋を投ずる
新聞等記事に「波紋を投ずる」と言ふ表現を見ることがある。波紋とは、水に物を投じたとき波が水面につくる模樣であり、影響と言ふ意味に用ゐられることが多い。波紋そのものを投ずると言ふのはをかしい。「波紋を生ずる」、「波紋を起す」、「波紋を及ぼす」、「波紋を擴げる」、「波紋を呼ぶ」と言ふ言ひ方は出來るが、いきなり「波紋を投ずる」は無理がある。
posted by 國語問題協議會 at 17:00| Comment(0) | 織田多宇人