日本人に個有の
「これは日本人に個有のマイナス面だ」と言ふやうに、「固有」と書くべき所󠄁が「個有」となつてゐるのをしばしば見かける。「固有名詞」を始め「こいう……」は全󠄁て「固有」で無ければならない。「固」の音󠄁は「コ」であり、訓は「かたい、かためる、もとより」であり、「固有」と言ふのは「もとからあること、特にそのものにだけあるもの」と言ふ意󠄁味である。一方「個」は音󠄁は同じ「コ」で、訓は特に無いが、全󠄁體に對して一つとか一人を意󠄁味し、「個人、個性、個體」等の熟語を作る。このやうに、漢字はそれぞれ「固有」の意󠄁味を持つてゐるのでそれを先づ知ることが肝要󠄁である。
2025年08月30日
日本語ウォッチング(79)「日本人に個有の」/織田多宇人
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| 織田多宇人
2025年08月09日
日本語ウォッチング(78)「難行する」/織田多宇人
難行する
「組閣まで難行し續けた各派調󠄁整に……」と言ふ文章を見た。難行は「なんぎよう」と讀み、身體を苦しめる非常に辛い修行の意󠄁であり、「難行苦行の末に漸く名僧と言はれるまでになつた」等と用ゐられる。この文章にある「難行」は使用法を誤󠄁つてゐることになる。おそらく、物事がいろいろな障礙の爲にはかどらない意󠄁の「難航(なんこう)」のつもりで「難行」を用ゐてゐるのであらう。
「組閣まで難行し續けた各派調󠄁整に……」と言ふ文章を見た。難行は「なんぎよう」と讀み、身體を苦しめる非常に辛い修行の意󠄁であり、「難行苦行の末に漸く名僧と言はれるまでになつた」等と用ゐられる。この文章にある「難行」は使用法を誤󠄁つてゐることになる。おそらく、物事がいろいろな障礙の爲にはかどらない意󠄁の「難航(なんこう)」のつもりで「難行」を用ゐてゐるのであらう。
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| 織田多宇人
2025年07月19日
日本語ウォッチング(77)「何に例へたらよからう」/織田多宇人
何に例へたらよからう
「始めて聽いた時の感激は何に例へたらよかつたらうか」とか、「例へ聲を大にして說いた所󠄁で」で用ゐられてゐる「例へ」は、「例へたら」は「譬へたら・喩へたら」とし、「例へ聲を」は「たとへ聲を」と平󠄁假名で書くか、あるいは「假令聲を・縱令聲を」とすべき。「たとへば……」と例をあげる時には「例へば」であり、似通󠄁つた性質の他のものになぞらえる時、例へば「兔󠄀と龜の昔話にたとへるならば……」のやうな時には「譬(喩)へるなら……」である。また「たとへこの身はどうならうと……」のやうに「かりに、よしや」の意󠄁の時には「たとへ」と平󠄁假名で書くか、あるいは漢字を使ふなら「假令・縱令」と書くのが普通󠄁である。なほ、この場合の「たとへ」は本來「たとひ」であり、「たとひ」と書いた方が望󠄂ましい。
「始めて聽いた時の感激は何に例へたらよかつたらうか」とか、「例へ聲を大にして說いた所󠄁で」で用ゐられてゐる「例へ」は、「例へたら」は「譬へたら・喩へたら」とし、「例へ聲を」は「たとへ聲を」と平󠄁假名で書くか、あるいは「假令聲を・縱令聲を」とすべき。「たとへば……」と例をあげる時には「例へば」であり、似通󠄁つた性質の他のものになぞらえる時、例へば「兔󠄀と龜の昔話にたとへるならば……」のやうな時には「譬(喩)へるなら……」である。また「たとへこの身はどうならうと……」のやうに「かりに、よしや」の意󠄁の時には「たとへ」と平󠄁假名で書くか、あるいは漢字を使ふなら「假令・縱令」と書くのが普通󠄁である。なほ、この場合の「たとへ」は本來「たとひ」であり、「たとひ」と書いた方が望󠄂ましい。
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| 織田多宇人