2023年03月19日

日本語ウォッチング(58)  織田多宇人

木っ葉みじん
 こなごなに碎け散ることを「木っ葉みじん」と書かれてゐるのを時々見る。「木っ葉みじん」は「木端みじん(微塵)」でなければならないだらう。「こなごなに碎け散る」と「木の葉」とは餘り關係がない。枯れ葉ならあり得るが、高フ木の葉から「碎け散る」を聯想することは困難である。ここはやはり「木端みじん(微塵)」だらう。木端は木の屑、木片のことで、「とるに足りない」とか「値打がない」との意󠄁に用ゐられ、「木端役人」と書き、とるに足りぬ役人の意󠄁であるが、これを「木っ葉役人」と書く人が案外多い。
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2023年01月21日

日本語ウォッチング(57) 織田多宇人

御他聞にもれず
 例外ではなく、世間一般の例と同じにと言ふ時に「ごたぶんにもれず……」と言ふが、「ごたぶん」と言ふのは數が多いことの尊󠄁稱であり、漢字を當てれば「御多分に洩れず」となる。ところが、これが「御他聞」と書かれてゐることが多い。パソコンのWordでも「御他聞」と出てくる。確かに「他聞」と言ふ言葉はある。噂等が他人に聞こえると言ふ意󠄁味で、「これは他聞をはばかることだが……」のように使はれる。漢字の使ひ方を間違󠄂へないやうにしたいものだ。
posted by 國語問題協議會 at 19:00| Comment(0) | 織田多宇人

2022年12月24日

日本語ウォッチング(56)  織田多宇人

個人名儀の
「個人名儀の」と書かれてゐることを時々見掛ける。これは「個人名義」が正しいだらう。「義」も「儀」も音󠄁は「ギ」だが、訓は義が「よい」で、儀は「のり」である。義には「人道󠄁、わけ、ぎり、つとめ」、儀には「ぎしき、てほん、ならわし」等の意󠄁味があり、それぞれ「道󠄁義、義士、義勇兵、字義、意󠄁義、義理、義務」、「儀式、儀典、禮儀、行儀、婚儀」等の熟語を作る。「めいぎ」は、「名前󠄁、書類等の表面上の名前󠄁、名分、名として立てる義理」と言ふ意󠄁味だから、「個人名義」が正しいだらう。
posted by 國語問題協議會 at 11:30| Comment(0) | 織田多宇人