2019年06月09日

日本語ウォッチング(16)  織田多宇人

しないことができる
戰後、何でも口語にすれば易しくなつた等と言ふ誤つた國語觀が横行した結果、「しないことができる」と言ふ言ひ方が法律や規則の類に用ゐられてゐる。「....セザルコトヲ得」を口語に直譯したものと思はれる。しかしどうもしつくり來ない。「しなくてもよい」とか「しないことが許される」とすれば未だマシなのだが。辭令とか卒業證書などまで簡潔で威嚴のある文語調が影を潛めたのは殘念である。
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2019年05月26日

日本語ウォッチング(15)コーヒーは薄いめに

テレビ等で「湯はぬるいめ・・・・・」と言ふやうなことを時々耳にする。これは喋り言葉だけでなく書き言葉にもしばしば見掛ける。「一般に、日本人の口には、紅茶は濃いめで、コーヒーは薄いめに感じる」の「薄いめ」は「濃いめ」に引つ張られてしまつたのか。「め」は「ぬるい、薄い、硬い、淺い、高い」等の形容詞に附く場合、形容詞の語幹に附く。つまり活用語尾の「い」は取つて、「ぬるめ、薄め、淺め、高め」としなければならない。「濃いめ」は「濃め」とは言はないので、例外的な使用例か。
なほ、たまに見掛ける「たつぷりめ、はつきりめ」等と副詞に「め」を附けるのには無理がある。
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2019年03月23日

日本語ウォッチング(14) 国際交流を助長する 織田多宇人

「助長する」と言ふ言葉は、最近では「国際交流を助長する」と言ふ風に「 力を添えて、ある物事の成長や発展を助ける」と言ふ意味に用ゐることが多い。しかし「助長」はもともと『孟子』から出た言葉で、「苗を早く生長させやうと思つた宋の人が苗を引き抜いて枯らしてしまつた」と言ふ故事から「不必要な力添えをして、かえって害すること」を意味し、惡い意味にしか使へない。
しかし、現在では良い意味に使ふ場合が壓倒的に多い。おそらく文化廳の國語調査で取上げれば、「良い意味」に○をする人が90%以上になるだらう。ただ、出來ることなら「今日のやうな中途半端な性教育は性犯罪を助長することになる」と言ふ風に使つて貰ひたいものだ。

posted by 國語問題協議會 at 20:24| Comment(0) | 織田多宇人