知られないやうに務めた
一見問題ないやうに見過󠄁ごしてしまふが「務める」は「努める」とかくべきだらう。「つとめる」には通󠄁常「勤、務、努、勉」をあてるが、「勤」は「勤務する、仕へる、奄出して仕事をする」意󠄁、「務」は「任務、義務、役目を果す」意󠄁、「努」は「力を盡くす、努力する」意󠄁、「勉」は「力の及󠄁ばぬところをしいてつとめる」意󠄁に用ゐるのが普通󠄁である。
使用例を擧げると、「勤」は「會社や役所󠄁に勤める」、「務」は「司會を務める、會長職を務める」、「勉」は「發明󠄁や發見に勉める」と言ふことにならうか。
2023年11月11日
日本語ウォッチング(65)「知られないやうに務めた」/織田多宇人
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| 織田多宇人
2023年10月15日
日本語ウォッチング(64) 織田多宇人
小數意󠄁見に組みしてゐる
かういふ表現はよく見みかける。「組みする」は「與する」でなくてはいけない。これは見かけるというより間違󠄂へてゐることの方が多い。
「與」の音󠄁は「ヨ」で訓は「あたへる、くみする、ともに」であり、熟語には「與黨、與力、參與、授󠄁與、給與、貸與、賞與」などがある。「くみする」とは「仲間になる、協力する、贊同する、關係する」ことであるが、「組する」と書く人は、「くみする」を挂けXX組とか○○組合とかに入る意󠄁にでも解釋してゐるのであらうか。「組する」と言ふ表記には「與する」ことは出來ない。
かういふ表現はよく見みかける。「組みする」は「與する」でなくてはいけない。これは見かけるというより間違󠄂へてゐることの方が多い。
「與」の音󠄁は「ヨ」で訓は「あたへる、くみする、ともに」であり、熟語には「與黨、與力、參與、授󠄁與、給與、貸與、賞與」などがある。「くみする」とは「仲間になる、協力する、贊同する、關係する」ことであるが、「組する」と書く人は、「くみする」を挂けXX組とか○○組合とかに入る意󠄁にでも解釋してゐるのであらうか。「組する」と言ふ表記には「與する」ことは出來ない。
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| 織田多宇人
2023年08月05日
日本語ウォッチング(62) 織田多宇人
昵懇の間柄󠄁
「昵近󠄁の間柄󠄁」と言ふルビを振つた文言をみても抵抗無く見過󠄁ごしてしまふ人が多いと思ふが、これは「昵懇」でなくてはならない。ただ、昵懇(親密で心安い)とほぼ同じ意󠄁味の「昵近󠄁」と言ふ熟語もあるので、「じつこん」と言ふルビが無ければ、或は「じつきん」と言ふルビが附けてあれば間違󠄂ひではない。
「昵」は音󠄁が「ジツ」で、訓が「ちかづく」であり、「昵懇、昵近󠄁」などの熟語を作る。「近󠄁」は今更說明󠄁するまでもないが、音󠄁は「キン、コン」で訓が「ちかい、ちかづく」であり、「近󠄁代、近󠄁況、近󠄁所󠄁、近󠄁親、接近󠄁」など多くの熟語を作る。一方、「懇」は音󠄁が「コン」で訓が「ねんごろ」であり、「懇切、懇意󠄁、懇談、懇親會、懇願」などの熟語を作る。
「昵近󠄁の間柄󠄁」と言ふルビを振つた文言をみても抵抗無く見過󠄁ごしてしまふ人が多いと思ふが、これは「昵懇」でなくてはならない。ただ、昵懇(親密で心安い)とほぼ同じ意󠄁味の「昵近󠄁」と言ふ熟語もあるので、「じつこん」と言ふルビが無ければ、或は「じつきん」と言ふルビが附けてあれば間違󠄂ひではない。
「昵」は音󠄁が「ジツ」で、訓が「ちかづく」であり、「昵懇、昵近󠄁」などの熟語を作る。「近󠄁」は今更說明󠄁するまでもないが、音󠄁は「キン、コン」で訓が「ちかい、ちかづく」であり、「近󠄁代、近󠄁況、近󠄁所󠄁、近󠄁親、接近󠄁」など多くの熟語を作る。一方、「懇」は音󠄁が「コン」で訓が「ねんごろ」であり、「懇切、懇意󠄁、懇談、懇親會、懇願」などの熟語を作る。
posted by 國語問題協議會 at 12:45| Comment(0)
| 織田多宇人