2024年01月13日

日本語ウォッチング(66) 織田多宇人

制肘を加へる
 「制肘を加へる」と言ふ文章を見たがこれは「掣肘」と書くべき。「制」も「掣」も音󠄁は「セイ」だが、訓は「制」は「おきて」、「掣」は「ひく」である。「制」には「おきて、ととのへる、おさへる」等の義があり、「制度、制令、制定、統制、制壓、抑制」を始め多くの熟語があるが、「掣」には「掣肘」以外に一般的󠄁な熟語はない。「掣肘」は中國の故事から出た熟語で、人の(ひじ)()いて自由を妨げること、つまり、脇から干涉して自由な行動を妨げる意󠄁に用ゐられる。「制」には「おさへる」意󠄁があるので間違󠄂ひ易いが、やはり正しく「掣肘」と書いて貰ひたい。
posted by 國語問題協議會 at 22:30| Comment(0) | 高崎一郎

2024年01月07日

かなづかひ名物百珍(33)「おしくらごう」/ア一カ

[おしくらごう]
[おしくらごう]
 山口縣萩市玉江浦における和船競漕の傳統行事。嚴島~社の例祭に開かれる。起󠄁源は不明󠄁だが少くとも江戶時代中期󠄁に溯り、一說に毛利水軍のすゑとも言ふ。玉江浦は萩城の西、萩川(阿武川)河口に位置する。
 「おしくら」は「押しくら(競)べ」の轉とされるが、「ごう」の由來は未詳といふ他ない。
posted by 國語問題協議會 at 16:40| Comment(0) | 高崎一郎

2023年11月04日

かなづかひ名物百珍(32)「ミキモト眞珠島」/ア一カ

[ミキモト眞珠島]
[ミキモト眞珠島]
 明󠄁治26(1893)年、御木本幸吉による養󠄁殖眞珠發の地。鳥亭s內の小島で、戰後はレジャー施設となってゐる。もとの名は「相島(おじま)」。島內には奈良時代創建と傳へる「珠の宮」があり、前󠄁身は「相島辯天社」といった。

[相生]
 「相」を「お」と讀むのは「あひ」の轉であらうか。兵庫縣相生(あひおひ)市の中心部はもと「相生(あふ)村」で、現在も「相生(おお)地區」や「相生(おお)の天~(天滿~社)」などの通󠄁稱に名殘りを留める。かつてギネスブックに世界最短の地名「O」として紹介された事もあるといふ。

 「相生」は地名や人名に少なからず登場するものの、「オー」まで短縮する例は他に例を見ない。「相島」や「相生村」は發音󠄁が先行し、これに漢字を宛てた可能性が高いやうに感じる。
posted by 國語問題協議會 at 18:00| Comment(0) | 高崎一郎