2019年06月28日

日本語ウォッチング(19)  織田多宇人

雀一匹
昔NHKの大河ドラマ「元祿太平記」で雀を「一匹」と二度も言つてゐたさうだが、勿論「一羽、二羽」と言つて貰ひたい。日本語のかぞへ方は非常にバラエティーに富んでゐるが、少し紹介してみやう。

家屋 棟(むね)、烏賊 杯(はい)、位牌 柱(はしら)、兎 羽(は)、繪 幅(ふく)、斧 挺(ちやう)、鏡 面(めん)、鏡餠 重ね(かさね)、刀 振(ふり)、蚊帳 張(はり)、機械 基(き)、琴 張(ちやう/はり)、芝居 幕(まく)、三味線 棹(さを)、神社 座(ざ)、吸ひ物 椀(わん)、太鼓 張(はり)、大砲 門(もん)、たらこ 腹(はら)、箪笥 棹(さを)、提燈 張(はり)、羽織 領(りやう)、屏風 曲(きよく)/帖(でふ)雙(さう)、山 座(ざ)、鎧 領(りやう)、鎧兜 具(ぐ)

屏風のかぞへ方が面白い。折れ曲つた一面を「曲」と言ひ、六面の屏風を「六曲一帖」と呼ぶ。屏風は二つがセットになってゐる場合が一般的なので、その場合は「六曲一雙」と呼ぶ。屏風一つの場合は「一帖」以外に、「半雙」あるいは「一隻」と言ふ。山を「座」と言ふのも、昔から山には神様が居らつしやると言はれてゐるので、神社と同じかぞへ方なのだらう。
posted by 國語問題協議會 at 11:33| Comment(0) | 織田多宇人

2019年06月23日

日本語ウォッチング(18)  織田多宇人

流れに棹さす
夏目漱石の『草枕』の冒頭に有名な「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい 」と言ふ文が出てくるが、「棹さす」の使ひ方を反對の意味に用ゐて、時流に反抗する意味で、「時流に棹さす」等と書くのを見ることが餘りに多い。「棹さす」とは、棹を水底に突き刺して舟を進めることで、流れに逆ふことではなく流れにのることである。
文化廳の平成18年度の「国語に関する世論調査」で,「その発言は流れに棹さすものだ。」という例文を挙げて,「流れに棹さす」の意味を尋ね結果は次の通り。(下線を付したものが本来の意味。)

(ア)傾向に逆らって,ある事柄の勢いを失わせる行為をすること・・・・・・・・62.2%
(イ)傾向に乗って,ある事柄の勢いを増す行為をすること・・・17.5%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5%
(ア),(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.3%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18.5% 

年代別に見ても、この言葉については,全ての年代を通じ,本来とは違意味で使ってる人の方が多くる。

posted by 國語問題協議會 at 00:00| Comment(0) | 織田多宇人

2019年06月16日

日本語ウォッチング(17)  織田多宇人

衆にぬきんずる
週刊誌などで「衆にぬきんずる」と言ふ表現を見たことがあるが、これは「ぬきんでる」でなければならない。「ぬきんでる」は「抜き出づ」が変化したものと思はれ、他より目立って優れる、ひいでると言ふ意味である。おそらく書いた人は「ぬきんずる」は、「先んずる、重んずる、輕んずる」と同類の語と錯覺したに違ひない。「「先んずる」は「さきにす」の音便で「ぬきんでる」とは同類ではない。
posted by 國語問題協議會 at 00:00| Comment(0) | 織田多宇人